「じゃあね、マスター。また来るね。」
飲み終えたコーヒーの隣に代金を置き、私は立ち上がる。
「うん、またおいで。」
マスターはまた悲しそうに笑った。


 あぁ、そんな顔しないでよ。
でも、私のせいなんだよね?
そんな顔させたいわけじゃないのに…。
ねぇ、マスター。
私は、「変わらない」んじゃない。



 …「変われない」ままなんだよ。



店を出ると、煌くネオン。
夜に染まりだした繁華街に向かい、私は歩き出した。