「春、ごめん。これ、部活の先輩に渡さなきゃ」

そう言うと春は嫌な顔せず、ついてきてくれた。

3年生の教室は、少し怖かった。

でも、先輩は教室の中じゃなくて、廊下にいたから良かった。

「…あのっ、類先輩」
名前を呼ぶと、ふと振り返る。
「あのこれ、美都先生が…」
恐る恐る茶封筒をわたす。

「あれ、技術部の子だっけ?」

「えっと、そうです」

私が言うと、一瞬黙り込んだ。