犬は何かに気付いたようです。

「この匂いは、吉備団子か?」

犬は鼻をふんふんいわせて桃子に近付いて来ます。

桃子は犬の様子を見て、またしても良いことを思い付きました。

「そうです、吉備団子です。

しかし今はまだ食べられません。
これは不思議な吉備団子なので、食べれるようになるまで時間がかかるのです。

しかし、ひとたび口に含むと、どんな食べ物よりも絶品な味わいなのですよ。

どうです?

欲しくありませんか?

絶品ですよ?

そうでしょうそうでしょう。
誰だってそのように欲しいと言います。

よいでしょう。

この吉備団子が食べられるようになった時、犬さんにお一つ差し上げます。

その代わり、私のお供になってください」

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