さっき唯さんに言われた一言で、この場では訊いてはいけないこと、ということだけは察したけど……。
 そうして三十分が過ぎたころ、なんの前触れもなく御園生が倒れた。
 まるで張り詰めた糸が切れたような倒れ方だった。
 すぐに湊先生や神崎さんたちが御園生を取り囲み脈を取ったり呼びかけたりする。
 俺は、箸を持ったまま、何もできずにそれを見ていた。
 大丈夫だ……ここには御園生の主治医がいる。しかも、医者は三人もいるんだ。絶対に大丈夫。
 そうは思うのに心臓がバクバクと走り始めて鳴り止まない。冬なのに、さして暑い屋内でもないのに、つ、と背中を汗が伝う。
「佐野っち……大丈夫、絶対大丈夫」
 唯さんが隣で俺の腕を掴んだ。けど、その手に力が篭っていて、あぁ、同じなんだって思った。