「あんま見ないでやって。ほら……人に見られたくないときってあるじゃん?」
「あります、けど……」
 じゃぁ、俺がここにいる意味ってなんだろう? 俺はなんのためにここにいるんだろう? 助けてほしいって言われたのに……。
 トン、と優しく御園生さんの手が肩に置かれた。
 見上げると、にこりと笑われる。
「翠葉を送ってきてくれてありがとう。サラダは好き? から揚げは? 嫌いなものない?」
「あ、なんでも食べられます」
「じゃ、適当に取るね」
 御園生さんは実に手際よく、あれこれ料理を取ってくれた。
 俺はそのあと海斗に話しかけられ、学校の延長のような会話に盛り上がってしまったけど、席に着いた御園生は、先輩の隣で能面のような表情をしていた。すべての感情を閉じ込め、表に出さないようにしているような……そんな顔。