「迎えに来るのが遅くなり申し訳ございません」
 言いながら真白さんの手を取り、
「そちらの藤の精の手も私に預けていただけますか?」
「えぇ、喜んで」
 真白さんが答えると、私の右手はバトンか何かのように涼先生へ渡された。
 涼先生がエスコートを始めると、声をかけてくる人がいても立ち止まることはなくなった。
 真白さんは少し得意げに、
「涼さんがいると向かうところ敵なしなのよ」
 とても嬉しそうに笑う。
「……パーティー開始時刻までにはまだ時間があると思っていましたが……」
 真白さんが零すと涼先生が答えた。
「静くんと湊の結婚を知った親族が早くに押しかけてきましてね、ふもとのウィステリアホテルでそのことを知った招待客も我先にと押しかけて来ているようです。現在、パレス周辺の国道がすっかり渋滞してしまい、近隣の方々にご迷惑をおかけしている状況だとか」
「まぁ……どうにかならないものでしょうか?」