今までパーティーに出たことがないわけではない。お父さんとお母さんが招待された小規模のパーティーには数えられる程度だけれど出席したことがある。
 けれどもこれは――規模が違いすぎる。
 ティーラウンジは目と鼻の先だというのに全く前へ進めない。
 もしかしたら、私がいなければ真白さんは挨拶だけで終りにする必要はないのではないだろうか。
「真白さん、私――」
 ひとりでティーラウンジへ行く旨を伝えようとすると、手を握られ困ったような笑みを向けられた。
「ごめんなさいね。私、選択を誤ったみたい。あのままサロンで涼さんが来るのを待っていたらこんなことには……」
「いえ、あの……私がご迷惑をおかけしている気がしたので」
 言うと、クスリと笑われた。