ドレスに着替え終わると、用意されたシャンパンゴールドの靴を履く。
 履く前から気づいてはいた。昨日履いた靴よりヒールは低い。けれど、ピンヒールの細さに拍車がかかっている。正直苦しい――苦しいけれども用意されたもの以外に履くものはない。
 私は覚悟を決め、姿勢を正し一歩踏み出した。

 ストールを羽織りブースを出ると、同じタイミングで支度の済んだ真白さんと鉢合わせた。
「あら、かわいい藤の精だこと。湊も翠葉ちゃんくらい着飾ってくれると嬉しいのだけど……。さっき顔を出したあの子ったら、ブローしかしてもらってないのよ?」
 真白さんは残念そうにため息をつく。けれど、私は湊先生らしいと思った。
 昨日だけが特別で、ブローしかしていない湊先生は通常運転。