「カモミール……ミルク?」
「はい。翠葉お嬢様にはカモミールミルクを、唯芹様にはコーヒーをご用意させていただきました」
「ありがとうございます」
 お礼を言ったのは私。唯兄はソーサーに置かれた角砂糖の数を見て、「これ、誰がオーダーしてくれたの?」と訊いた。
「司様より承りました」
 ウェイターはにこりと笑ってその場を去る。
「俺の好みを覚えててくれるなんて光栄だねぃ」
 唯兄が皮肉のようなお礼をツカサに向けると、ツカサは素っ気無く「別に」と答えた。
 そして、
「海斗も兄さんも使えないな。ついでに、御園生さんと唯さんも……」
 言うなり椅子を引いて立ち上がり、こっちへ向かって歩きだす。