「リィ、起きられる?」
「ん……。今、何時?」
「六時半」
「蒼兄たちは?」
「晩餐会」
「そっか……」
 横になる前のことを思い出す。
 ドレスを脱いだあと、夕飯はレストランではなくゲストルームで摂る旨を伝えてから休んだのだ。
「……あれ? どうして唯兄がいるの?」
 声の調子からすると酔いは覚めているのだろう。
 目を開けると、暗がりの中に唯兄がいた。
 部屋の明かりは一階の間接照明のみで、ロフトは暗い。
 サイドテーブルに置いてあるランプに手を伸ばそうとすると、
「ちょっとたんま」
「唯兄?」
「リィ、ごめん」
「え?」
「俺、リィに謝らなくちゃいけないことがある」