忘れてはいけない。私は二度も朗元さんに救われた。
 デパートで会ったときも白野のパレスでも、私は朗元さんに話を聞いてもらって救われた。今はただ――。
「少し、混乱しているだけなので……」
「そうですか……。もし、考えに行き詰まることがありましたらいつでもいらしてください。私のところへでも真白さんのところへでも」
 そう言って、涼先生は真白さんのもとへと戻っていった。

 披露宴とは言うものの、全くもってそんな雰囲気ではない。
 挙式はそれなりの形式に則ってやったのだろう。けれど、披露宴は私が思い描いていたものとはずいぶん異なる。
 最初の涼先生と湊先生のダンスはラストダンスというらしい。そのあとの新郎とのダンスがファーストダンス。欧米では、披露宴の始めにこういったダンスがあるのが一般的らしい。