「うん。大丈夫……」
 口にして思わず苦笑い。
「ごめん……。大丈夫に見えないから訊かれてるんだよね」
 ごまかせないものをごまかせると思うほどバカでもなくなった。
「少し疲れたのかも。……でも、今はがんばる。その代わり、レストランでの夕飯は辞退しようかな」
「そうか……」
 何か言いたそうな蒼兄に、「ごめんね」と心の中で謝る。
 蒼兄は私の心と身体の両方を心配してくれている。わかっていながら、私は片方にしか答えなかった。
「蒼兄、少し休めば大丈夫だから」
 少し時間が経てば気持ちも落ち着くと思うから。
 そんな意味をこめて言うと、「失礼します」とツカサに似た声が割り込んだ。