似ている――雅さんの雰囲気に。
 表情の作り方がそっくりだと思った。
 だが、それだけでは判断できない。
「あなた、どういうつもりなのかしら」
「何がですか?」
「何が? ずいぶんととぼけていらっしゃるのね」
「携帯を返してください」
 翠は越谷の言うことに耳は貸さず、とにかく携帯を返してほしいと口にする。
「拾ったときにね、誰のものか調べなくてはいけないでしょう? それで少し中を見せていただいたの。そしたら、指が滑ってしまって着信履歴が表示されたわ」
 越谷がクスリと笑った。