『あぁ、そうだわ。話が終わったあと、秋斗くんに予定がないようなら一緒に降りてらっしゃい。夕飯は多めに作っておくからあとでふたりで食べるといいわ』
「ありがとう。そう伝えるね」
『しっかりね』
「はい」
 携帯を切ったあともなんだか不思議な感じがした。
「どうかした?」
「いえ……。あの、お母さんにはまだ記憶が戻ったことを話していないんですけど……でも、なんだか気づいているような気がして……。ちゃんと話していらっしゃいって、しっかりね、って言われちゃいました」
 秋斗さんはクスクスと笑う。