「それ、相手しなくていいから。ちょっと代わって」
『うん? わかった。待ってね』
 携帯の向こうから、「司本人です」「ありがとね」という会話が聞こえ、すぐに滝口が出た。
「藤宮くん、どこに行けば君に会えるのかな? とりあえず、校内ざっと歩いてみたけど見かけないわ出くわさないわ……。人だかりのとこにでも行けばいるかと思えば違う子にたどり着くわ……。ま、おかげでこの電話にありつけたわけだけど」
 どんな探し方をしているんだ、と言いたい。
「図書棟にいる」
『じゃ、そこに行けばいるのね?』
「今はな」
『相変わらずつれないなぁ……。ところでさ、君、忙しいのかもしれないけど、携帯出ようか?』