あの秋斗さんが願掛けの代償になっただなんて、にわかに信じがたい。
 でも、どうやらそれは本当らしかった。
 学園祭の準備中は秋斗さんがリィに一切コンタクトを取らなかったと、リィの口からはっきり聞いた。
 会えていないであろうことは知っていたけど、それはリィが学校ではなくマンションで作業をしているからで、メールのやりとりくらいはしていると思ってた。
 あーぁ……。
 そりゃ、今日って日を人一倍楽しみにしていたわけだよね。
 図書棟に戻ると、あんちゃんよりも先に相馬先生が口を開いた。
 立ち上がると蔵元さん級の高さの人が、「お疲れさん」とリィの頭に手を置く。