「今日は色々とあったからすごく疲れてるんじゃない? あと一日あるから、今日はもう上がって?」
 彼の王子スマイルにリィは苦笑して、「すみません」と頭を下げた。
 リィは近くにいる人たちにだけ声をかけ、奈落をあとにした。
 その行動に、前ほど無茶はしなくなったかな、なんて思う。
 だって、俺は美都くんが言う「色々」なんて知らないわけだから。

 リィとふたり地下道を歩いている途中、後ろから足音が聞こえてきて立ち止まる。
 振り返ると、リィと一緒に歌った女の子が息を切らして現れ、びっくりすることを言って去っていった。