飛鳥は右手で目をこすると、キッ、とこちらを向き、頭の上に両手で大きなマルを作った。
 カメラに映った飛鳥がスクリーンに映し出される。
 目が涙目。
 でも、その目はひどく挑戦的で、そんな表情すら愛おしい。
 目の前にいたら抱きしめるのに。
 次にマイクを手に取ったので、再度小窓の方に視線を移す。と、
『海斗のバカっっっ』
 飛鳥の通る声が桜林館に響く。
「くっ、さすが飛鳥だ」
 思わず笑みが漏れる。