「え? 俺、一応藤宮警備の人間だから仮に誰かに見つかっても社員証出せばクリアだよ?」
「いや、そうじゃなくてさ、自己紹介っていうの? 俺、普通に唯くんって呼んじゃいそうだし。でも、昨日は千里に御園生唯芹で自己紹介してるし」
 あぁ、なるほどね。
 その図書棟ってところは結構な数の人間がいるのかな?
「そりゃもちろん、御園生唯芹で行くでしょ。でも、呼び名は唯くんでいいよ」
 にこりと笑って、海斗っちとその図書室とやらに入った。
「誰?」という視線が矢のように身体に突き刺さる。
 あぁ、学校だね。若者だね。セリと同年代の集団の中に入るなんて考えもしなかったよ。
 セリは俺の中で十七歳のまま止まっている。そろそろ脳内妄想で成長させてあげないとダメかな?