「ほら、文句あんだろ? とっとと言えや」
 先生はどんどん柄が悪くなっていく。
 どすのきいた声に、目つきだってより悪くなる。
 なのに、私には怖いという感情は生まれず、どちらかというならむかついていた。
 先生に対してむかついているのかはわからない。
 でも、この感情が「不満」であることはわかる。
「不満ってのはな、隠そうとしても表に出るもんだ。おまえがどんなに醜い部分を見せたくなくて隠そうとしていても、見えるやつには見えんだよっ」
「っ――な……どうして――」
 もう、やだっっっ。
「どうして私はこんなに制限されなくちゃいけないのっ!? どうしてみんながしていることと同じにはできないのっ!? どうして無理しちゃいけないのっ!? ねぇっっっ、どうしてっっっ!? どうしてがんばれるところまでがんばっちゃいけないのっ!? 全力投球って言葉があるのに、どうして私はそれをさせてもらえないのっ!?」
 最後は先生に掴みかかっていた。