「今回おまえが飲み続けていたもの、これだって変わらない。その場を凌げても、確実におまえの身体を蝕む。そういうアイテムなんだよ。以前、お姫さんが一度だけこの手のものを飲ませたことがあると言っていた。そのとき、お姫さんはなんて言った? 覚えてないか?」
 いつ飲んだのかすらわからない。
 今回これを飲むきっかけになったのはキッチンに置いてあったからで、「滋養強壮剤」と書かれていたから。
 でも、その言葉をいつかどこかで聞いたことはある気がする……。
「なくした記憶の一部になってるってこったな。じゃぁ、いい。お姫さんが言ったことを教えてやる。『本来は飲ませるべきものじゃない。でも今日は特別』。そう言って飲ませたそうだ。スイハの体調が思わしくなく、それでも取りやめにはしたくない予定があった。だから、そのときにだけ仕方なく飲ませた」
 そんなこと言われても――。