「よし、じゃ、スカートだけ持っててね?」
「え……?」
 後ろから彼女の両脇に手を入れ、湯船の中へ彼女を入れた。
 まるで子どもをお風呂に入れるみたいに。
 湯船の縁に座らせると、湯に浸かる足を見てポカンとした顔をしていた。
 自分も湯船に入り、同じように縁へ腰掛ける。
「あったかいね」
 笑いかけると彼女の目に涙が溜まりだし、やがてそれはポツリポツリと彼女のスカートに落ちて行く。
 すぐに下を向いて髪の毛が彼女の顔を隠してしまったけど、スカートにできる染みは広がるばかり。
 手の届く位置にフェイスタオルがあって助かった。
 それをシャワーで濡らし、彼女に差し出す。
「泣きたいだけ泣いていいよ」
 彼女はスカートを膝まで持ち上げると、きれいに折りたたんで涙でできた染みをすべて隠した。