ハナは冬の寒い日に外へ連れ出すと、地面が冷たいのか、片足を上げてフリーズする。
 挙句、抱っこ抱っことせっついてくるのだ。
 目の前の彼女は抱っこをせがむことはないだろうけれど、してくれたらかわいいかな、とは思う。
「蒼樹情報より抜粋なんだけど、シャワーの温度は三十五度からでOK?」
「はい……」
「蒼樹から翠葉ちゃんの話を聞かされ始めてからは結構長いから、翠葉ちゃん情報は蓄積されているんだ。スカートだけは持っててね?」
「あ、はい」
 彼女は膝の辺りまでたっぷりとしたスカートを持ち上げる。
 白い足にシャワーを当てると、一気に赤くなって慌てる。
「わっ――赤くなっちゃったけど大丈夫っ!?」
 彼女を見上げると、下を見下ろしていた彼女がコクコクと頭を縦に振る。
 二三分かけて温度を上げ、四十度くらいになったときにシャワーを止めた。