本当ならそのままお風呂に入れてしまいたいところだけれど、着替えはないし、湯上りの彼女を見るのは目に毒な気がして。
 足湯なら自分の理性も保てそうだから。
 隣の部屋に戻り、
「足湯で温まろう?」
「そこまでしていただかなくてもっ」
 ベッドの上で後ずさって辞退される。
 困った顔――。
 困らせたいわけじゃないんだけど、俺も……俺らしくいたい。
 俺らしくいることを君が望むなら、俺はこのままの俺で君に接するよ。
「じゃ、俺も一緒に足湯に浸かろうかな」
 彼女の隣に腰掛け靴下を脱ぎ、ジーパンの裾を捲くった。
 彼女は何を言うでもなく、あたふたしている。
「そろそろかな」
 立ち上がると同時に彼女を抱え上げるが、なんの反応もない。