「翠葉と司、うまくいくといいね?」
「そうだなぁ……あんな司が見られるとは思わなかったよ」
 優太がクスクスと笑う。
「なんかさ、人間っぽくなってきたよね」
 そう言うと、優太が盛大に吹きだした。
「でも、わかるわかる」
 と、お腹を抱えて笑う。
「翠葉がもうちょっと積極的だったらいいのにねぇ」
「逆じゃん? 司がもっと動かなくちゃダメな気がする。それに、翠葉ちゃんが誰を好きなのかって俺たちわかってるわけじゃないしさ」
「そうだけど……でも、司は――司にしてはがんばってると思うんだよね」
「確かにね」
 外は暑い。
 風も何もあったもんじゃない。
 北側だというのに、こんな暑いなんてひどい……。
 三文棟と桜林館の連結部分から食堂へ入ると、そこは人で溢れ返っていた。