「テスト以外の話です」
 冷や汗をかきながら正直なところを口にすると、
「翠のこと?」
 すぐに核心を突いてきた。
「今日、秋兄が翠葉に会いに行ってるの知ってるじゃん……」
「……だから?」
「全然うろたえてないっぽいから余裕なのかな、って……」
「……昨夜、姉さんにも同じこと言われた。俺、そんなふうに見えるんだ?」
「……少なくとも、動じてないようには見える」
「動じてない、か……」
 司はカップに口を付け、コーヒーを一口含んだ。
「姉さんにはこう答えた。焦っても仕方ないから、今は翠の体調と気持ちを優先させる」
 なるほど……。
「ただ、それだけ」
「司……仲のいい人と好きな人が一緒になるってどんな感じ?」
「……それ、愚問じゃない?」
 そりゃそうだ……。