「人間に…ですか?!」
家来は女を見て
「なんで人間がここにいるんだ!!」
というような目をしていた。
「うるさい、早く持ってこい」
「は……はい」
家来はささっと部屋からでた
「別に食欲なんてないわ」
「食わんと餓鬼に対応出来なくなるぞ」
「餓鬼?…へぇ、そういえばここは獣人の国だっけ…?」
すると女はニッと冷たく笑った
「餓鬼に食べられたほうが早いかもね?」
「はっ?」
「いいわ。自分で死ぬより餓鬼に殺されたほうにしようかな?」
こいつ…どんだけ死にたいんだ…?
女は続けた
「それとも、ここのお城にいる人にあいて顔をだして殺されるのもわるくないかもね?」
パシッ
俺は無意識に女を平手打ちをした
「いた…」
「あっごめん…でも…自分から死にたいというのは俺の前で言うな」
「……」
女は今でも泣きそうな顔でうつむいてしまった。
そしてーー……
「もぅいいよ。」
「おまたせしました」
召使の声と女の声がかぶった
召使め…空気読めっての…
「…外に行く」
「おいっ!」
女の手を引っ張ろうとしたが召使が掴んできた。
そのせいで女はどっかへ行ってしまった
「なにすんだよ!」
「王子、人間を連れているともぅ街中が大騒ぎです」
もう伝わったか…
「わーったよ。親父のとこへ行けばいいんだろ?」
「はい。しかし…」
召使が言ったことは
俺を苦労させることだった
*美鈴視点*
廊下を歩いていると
ここのものと思われる獣人たちが
私を鋭い視線で睨んでいた
ここは獣人の国。
人間がきたら確実に殺される
しかし
あの人が…王子の獣人のつれと
きかせれて
あまり手は出せないのだろう
長い廊下を歩いていると
庭がみえた
入ってもいいよね……?
そう思い庭に入った
さすがはお城
お花がたくさん生えていて
踊りたくなりそうな
黄緑色の光ったお庭だった
「誰かいるの?!!」
え…誰かいる?!
それは……
「あら失礼。人間さんでしたか…?」
とくに驚く様子もなく
ちょっと年老いた獣人がいた
でもシワはあるけど
綺麗な獣人だった
とてみ優しそうな髪の毛が地面まで
つくような茶色の髪の毛を
なびかせてた
「あなたが例の人間さん?」
「え…あっはい!!」
多分、例の人間って私しかいないだろう
「まぁ、とても綺麗な人間さんなことお名前は何というのかしら?」
「み…美鈴と言います」
「あなたにピッタリなお名前ですね。目がとても綺麗」
なんか変だな。
こんな獣人もいるんだな…
この人が笑うと自分まで笑ってしまうよ
なんというか
おばあちゃんにそっくりな人だな…
「ほら、こっちにきなさい?」
彼女は手を振って
おいでおいでとした
「失礼します」
彼女の横に立った
「あなた、リコルになにかされた?」
「リコル……?」
誰だそれ?
「俺だよ」
背後から妙な気配を
感じるので後ろを
振り向くと奴が立っていた
「あら、リコル。いたの?」
「いたじゃねーよ、ついさっき来たところだし!ほら、いくぞ!!」
グイッと私の腕を引っ張った
「え…っや!!!」
バッと奴の手を振りほどいた
「てめ……っ!」
「リコル!!!」
おばあちゃんが奴に向かって
叫んだ
?!
「リコル、あなたこの子の名前を言ってご覧なさい」
「っは?」
「早く!」
「………知らねーよ…」
「じゃあ、なんでこの子をこんなところに連れ出したの?彼女は人間よ!?こんなところにいたら危ないじゃない!!!!」
「別に俺の勝手だろう?!」
「人間にも獣人にも生きるしかくがあるわ!!」
あわわ…どうしよう…
こんな感じじゃ
一生続いちゃうよ…!!
「おばあちゃん、私は大丈夫だよ?」
大丈夫じゃないけど
「駄目よ、無理しちゃ」
「こいつが大丈夫っていってんだから大丈夫だろう?!」
バシッ
「あなた、それでも王子なの?!人間でも獣人でも女の子なのよ?!」
奴は何も言わなかった
そんな奴を私はほんの少し
可哀想にみえてきた
奴は奴でも私を助けてくれた
私の命の恩人に
かわりわない
でも、いまさら?ってなるよね…
あたしも何も言えなかった
「美鈴ちゃん、怖かったでしょう?」
「少し……」
「リコルもあなたを助けたかったからなの。こんなことに巻き込んでしまってごめんね?」
「いえ!!助けてくれたので…はい…大丈夫です…」
こっからさきに喋ると
嘘になってしまうから
大丈夫です、としか言えなかった。
「悪いけど、お父さんのところへリコルと言ってくれないかな?」
「お父さん…?」
「親父だよ」
奴が頭をかきむしって言った
お父さん…?
「でわ、お母さん…?」
おばあちゃんを指すと
ふふふ…と微笑んだ
ええええええええ?!!!!
ってことは
私、さっきまで
王女様と喋ってたの!?
「ご…ごめんなさい!!私、あんな言葉遣いを…!!」
バッと頭を下げて謝った
「まぁまぁ、もういいのよ?美鈴ちゃんとお話するの楽しかったわ」
あぁ…ここの王女様って
優しい人なんだ…
獣人ってもっと恐ろしいと
思ってたけど
こういう獣人もいるんだ…