寝室のドアを勢いよく開けて、絶対に低血圧ではないだろう尚樹が慌てながら飛び込んできた。

「あ! いた!……えー!!」

 そして、貴之と一緒にいる美葉の姿を確認した後、目を丸くして叫んだ。
 しばらく、無言で見つめ合う貴之と尚樹。

「……お前……出会ったばかりの若い女を部屋に連れ込んでこんな……」
 尚樹の貴之を見る目が冷ややかなものになっていた。

「おまえは古女房か! 違う! こいつが勝手にオレの布団の中に入ってたんだよ!」

 激しく動揺する貴之の隣で、もそもそと動き出す物体。

 ようやく、美葉が起きたようだ。
 顔を上げ、うつろな目で辺りを見回す。

「……いいにおい」