さすがに、寝室は分けるべきだと思い貴之は自室で、美葉にはその隣の和室で休んでもらうことにした。
(ちなみに、尚樹も泊まると言い出し、いつものごとく居間あたりで勝手に寝た、はず。)

 と、いうわけで、ここに美葉がいる、ということはおかしいのである。

 いつからいたんだろう?

「……うわー、全く覚えてねえ」
 ふと、美葉の寝顔に目をやる。

 なんとなく違和感を覚えた。

 貴之は彼女の顔を覗き込んだ。
 頬に、歪な線が描かれている。

 涙のあと、だ。

 貴之はなんだかとても不思議な気持ちになった。