「……ああー……」

 力なく声を漏らす貴之。


 そうだった。

 彼女の名は、木村美葉。

 わけありの家出女、で。
 昨日から自分の同居人となった女。

「昨日の……夢、じゃなかったか」

 貴之があんなに騒いだというのに、いまだ、すやすやと寝続ける美葉を横目に、彼は深い深い溜息をついた。

「つーか、まじで幽霊とかだと思ったっつーの……あれ?」

 貴之は昨夜の事を思い返していた。

 昨日は、自分達も、もちろん美葉も疲れきっていたので、早い時間に床についた。