「いや、雅之が居てくれるだけで百人力さ」
その言葉で我に返ったのか、龍星は書状を畳みながら、ようやく紅い艶やかな唇にいつもの笑みを取り戻した。
「それは良かった。
今日、帝に返事に行ったのか?」
雅之は御所ですれ違ったことを指して言った。
「ああ、そのはずだったんだ。
しかし。
……アレは、毬ではなかったと思わぬか?」
龍星は鋭い眼差しを雅之に向けた。
「雰囲気はまるで別人だったな」
雅之とて、男装した毬は何度も目にしていた。
それでも尚、雰囲気が違うと認めた。
そもそも、あれが毬であれば雅之とすれ違う時に何かしらの反応があっても良かったはずだ。
その言葉で我に返ったのか、龍星は書状を畳みながら、ようやく紅い艶やかな唇にいつもの笑みを取り戻した。
「それは良かった。
今日、帝に返事に行ったのか?」
雅之は御所ですれ違ったことを指して言った。
「ああ、そのはずだったんだ。
しかし。
……アレは、毬ではなかったと思わぬか?」
龍星は鋭い眼差しを雅之に向けた。
「雰囲気はまるで別人だったな」
雅之とて、男装した毬は何度も目にしていた。
それでも尚、雰囲気が違うと認めた。
そもそも、あれが毬であれば雅之とすれ違う時に何かしらの反応があっても良かったはずだ。