龍星は包み込むように毬の手を握る。

 目の前にいる彼女の視線はどこか遠くを彷徨っていた。

 毬が少年のように喋るのを見るのは初めてで、驚きの方が強かったがそれは表情には出さない。
 帝も同じことを言っていたと、頭の隅で思い出していた。

 その霊との関係は性別を変えるほどのものだったのだろうか。

 心配になる、と同時に、毬のことを何も知らないと言う焦燥感にも似た思いに晒されていた。


 彼女のことを何も見ないまま、何も知らないまま、ただ自分の想いと都合だけで突き放してしまったことが悔やまれてならない。