勘違いだというには鮮明すぎた。

 妄想だというには、リアルだった。

 ここ最近の記憶が、時間軸を無視して、フラッシュバックする。

 いや、時間軸を無視してはいるが、確実に過去へと遡っている。

 春風ちゃんと散歩に行った日。

 春風ちゃんと初めて会った日。

 そして、

「やめろぉおおおおおお」

 渾身の叫びも、拒絶も、否定さえも自分自身に課すことはできなかった。