ゆりは私のスマホを手にするや否やはしゃぎだした。
「こんにちはっ!」
「君は……誰?」
ヨクはいつも通りの爽やかな笑顔で受け答えを始めた。
「私はゆりあ!」
「ゆりあ……可愛い名前だね」
「ダメっ!ゆりって呼んで」
「ゆり」
ゆりはキャーっと黄色い声を上げた。
――――なんか、ダメだ。
演じてくれているだけだとわかっているのに、ヨクが私以外に向ける甘い言葉に胸が痛んだ。
「ねぇみぃちゃん!!このゲームすごいわね!!普通の乙ゲーと違って会話できるんでしょ?! 」
ゆりは目をキラキラさせながらこちらを向いた。
「うん……すごいよね」
ゆりへでもヨクへでもない、自分の嫉妬心の大きさに私は嫌悪感を感じていた。