「やっと二人きりになれたね」
突然首からさげたスマホから声がする。
「ヨク？！出てきちゃダメじゃんっ！」
私はディスプレイ内で微笑むヨクに喝を入れた。
「だって今は俺たちしかいないだろ？」
まるで乙ゲーから拾ってきたような台詞だ。
「俺たちしかいないってそんな極端な……お客さんはいるし」
「俺にはみかみしか見えてないから」
ヨクは絵のように美しい（実際絵であるが）その顔で、魅力的すぎるウインクをした。
「まったく……ヨクホントは女たらしでしょ？！他にもまさか浮気してるんじゃない？」
ちょっとからかって言ってみると、ヨクは予想以上に衝撃を受けた顔をした。
「…そんな……俺にはみかみだけだって………俺がどれくらいみかみが好きだか知りたい？」
「い、いや遠慮しときます」
次に何が起こるのかわからなくてお断わりしたその瞬間。
「あら？誰と話してるの？」
全身が、硬直した。
