ヒュッ、 ボコーン

「ぐぇ!!」

「くるみになんて事すんのよ…」
ユラユラと男が飛んでいった場所まで歩いていく。

「ねぇ?くるみになにしたのかって聞いてんのよ!あ゛?」

鬼の形相で男に向かって力いっぱい怒鳴る。

そしてもう一度男を殴ろうとすると

パシッ

腕を捕まれた。

キッっと上を向くと

「え…」


「ばーか、もう止めとけ。」


息を切らして笑う龍二が
いた。

「龍二〜、はぁハァ、お前早ぇよ。」

「オメーが遅ぇんだろが。」

しれっと龍二が答えた。

「って、くるみちゃん!?」

倒れてるくるみの元へ隼人先輩が駆けていった。


「オラ、魅加も、離しとけ。な?」

「〜〜っ、余計な事しないでよ!」
…………ハッ

「ご、ごめ、なさ…」


龍二がムッとした顔になる

「なんで謝るんだ。」

「え…?」

「だ、だって!私今助けてくれたのに、怒っちゃって……」

私がしどろもどろで
答えると


龍二が私の目線まで屈んで

「バーカ、こう言うときは
ありがとう。だろが」

ニッ、っと笑った龍二には

今までの男には持たない
感情が生まれた事を確信した


「グスッ、ありがとう。龍二」

「ああ、」

「あ、おい!魅加!」


安心して気を失った私を
龍二が支える。

「あー、魅加ちゃん気ぃ失っちゃったか。」

「ああ、」

「で、どうするんだ?魅加ちゃん。流麗に連れてくのか?」

「ああ」

「そっか、お前がきめたなら文句はねぇよ。…でもお前が近寄る事で魅加ちゃんが狙われるんだぞ。」

「ああ、大丈夫だ。俺がこいつを守る。何があっても、だ。」