猛獣が唸ったような低い声で
「おい、。」

とメットを被ったまま言葉を
発した。


低くて男の声なのになんだか
怖くない。


なんて事を考えていると

「おい、っつってんだろうが」

と先程よりも数段低い声で喋った
これはもしかしなくとも
私に話しかけてるよね…

ってゆうか怒ってる!?

ど、どうしよう
考えすぎて気持ち悪くなってきた

少し前屈みで恐る恐る猛獣のような声の主のほうを見た。


「ゎ、」

隼人先輩と同じようにフルフェイスを被っていたから顔なんて分かんなかったけど

隼人先輩と一緒ぐらい…ううん、
それ以上の美形だ。


「ゎ、じゃぁねぇ。お前具合でも悪いのか。」

無表情のまま淡々と喋るその美形さんは
私の心配?をしているようだ。


無視するか悩んだ結果

「いえ、大丈夫です。」


真っ直ぐその人を見つめて言った。


「っ、」

かぁぁ、と赤くなるその男は

「そ、そうか。お前、名前は?」
目をそらしながらそう言った



なぜ赤くなるのだろうと思いながら
「林 魅加です。あなたは?」


聞かれたら聞き返すのが礼儀と思い、あまり興味が無かったが
男の名前も聞いた。

「魅加か、いい名前だな。俺は帝 龍二だ。」


男は微笑みながら名乗った。


「そう、龍二先輩もどこかのチームに入っているの?」

男とは話したくないはずなのに
なぜか普通に会話をしてしまっている。



「あぁ、龍麗っつーチームだ」

質問されたことが嬉しいのか
これまた笑顔で龍二さんは答えた
「あ、それと先輩はいらねぇ。龍二でいい。」

ちょっと照れたように言った


少し可愛いな、と思った。

「ねぇねぇ、魅加ちゃんはさ、龍二の事知らないの?」

突然くるみと話していた隼人先輩が話しに入ってきた


「ぁ、はい初めて見ました。」


「ぶっ、あはは!この辺で龍二のこと知らない子なんて初めて見たよ。」