「ありがとう。」

なんで橋の上なんかで指輪外したんだろ
他人にまで迷惑かけて

「彼氏からなんでしょ?羨ましいな。雨の中探してもらえて」
痛々しく笑う彼に私は
なにも言えなくなった


「お母さんに貰ったの。結婚指輪が羨ましくてねだったの」

彼は私の頭をぶっきらぼうにふく


「やっぱ羨ましいんだね。そうゆうの」
「そうだね。今日はありがとう。帰ったらすぐ
着替えてね」

私は軽く頭を下げた

「待った」

「何か?」

「番号教えて。また話そう」
「構わないけど…」

彼は紙に番号を書いて渡す

「後でかけるよ」







濡れたまま家に帰り
そのままお風呂に入る

番号の書かれた紙を見つめ
私ははっとした

「そら〈奏楽〉なにしてるの?」

お姉ちゃん後ろにいたんだ…

「あら。番号…友達?」
「うん」

「名前は?」

………「知らないけど」

お姉ちゃんは大笑いした
そりゃあそうだよね