『もう!慶さん止めて下さいよ〜!!』

慶の奴、また藍ちゃんにちょっかい出して…

ここのところ俺は進路相談やら役員会やらで部活を休みがちだ。
コンクールも近いっていうのに。しかも、最近慶がやたらと藍ちゃんにちょっかいを出しているらしい。

『おい!慶!いい加減にしろ!』
『へいへい…さっ!邪魔者は退散しましょうかね!』

『何言ってんだよ!』

『なんでもねーよ!じゃあね〜藍ちゃん!』


『橘さん!久しぶりですね!』


『おぅ!練習頑張ってるか?敦、ちゃんと教えてくれるか?』


『はい。私ドレミ吹けるようになったんです!凄い〜!!』


『プッ!』
《こいつおもしれ〜な。自分で自分を誉めてるよ!》


『そっかそっか。頑張れよ!』


『は〜い!』


藍は嬉しそうに楽器を抱え、練習部屋へ戻って行った。

笑顔がとても可愛いかった。
またもや胸が苦しくなった。