そして、彼女は、
ゆっくり俺の
手を取って言った。
「望さんに出会えて、
私は幸せです。」
「俺も、マチさんに
会えて良かった。」
いいムードだと言うのに、
タイムスリップ屋の副店長が
声をかけてきた。
「もう時間だよ。」
「もう行きますね。
望さん…。お元気で。」
「うん。マチさんも元気で。」
そう言った途端、
マチさんは突然涙を零した。
突然のことで、
俺は戸惑いを隠せなかった。
そんなマチさんを
抱きしめたくなったけれど、
俺は何もしなかった。
そんなことをしたら、
今度こそ本当に
マチさんを帰らせたくないと
思ってしまう。
それに、告白をしても
よかったのだが、
俺は言えなかった。