「何言っているんですか?
私は帰る方法をずっと
探していたのですよ。
今更そんな…」
「マチさん、もう帰れなくたって
いいじゃないか。」
「え?」
俺は、どうしてもマチさんを
返したくなかった。
元の世界になんか、
返したくなかった。
「ずっとこの世界で生きようよ。
ここなら食べ物だって
たくさんある。好きな洋服もたくさん。
家だって広いし、車や携帯電話もある。
遊園地だって、好きなときに行ける!」
「でも」
「過去の世界に戻ったって、
マチさんは、死んでしまう!
ここにいれば、戦争で死ぬことは
ないから、絶対幸せになれるんだよ!」
最初は、早く元の世界に
帰れるように
協力していたのだが、
マチさんと一緒にいる時間が
増えるたびに、俺は知らぬ間に、
マチさんに惹かれていたんだ。