「マチさん、どうして笑うんだ。
 本当は泣きたいんだろ?」
「…そんなことないです。」
「あるよ!普通だったら、怖くて
 たまらなくなる!」
「きっと、お国のために死ぬんです。
 ならば、悔いはないですよ。」


わざと明るく言うマチさん。
俺は納得できない。お国のために
命を捨てるのも、躊躇しないのか。
そんなこと間違っている。


「違う!」
「望さん?」
「国のために死ぬことは、
 誇らしいことじゃない!」


こんな未来人が言うのも、
おかしいかもしれないけれど、
歴史の授業で勉強したことは、
今になって、無駄じゃなかったことに、
感謝する。
昔の人は、お国のために喜んで
命を授けるらしい。
喜んで戦争に出ていくらしい。
兵隊は、生きて帰ってくることは
恥だと言う。
死んで骨だけ帰ってくる事が
何より国のために活躍した、
と英雄のように
讃えられる。
(ほとんどが、骨も返ってないのだが。)


だけど、未来人の俺から見たら、
そんなことおかしい。
人の命よりも、勝るものなんか
この世には何一つないんだ。
人の命よりも、戦争。
そんな考えは、
おかしいということを
気付かなければいけない。