あれから、マチさんは
玲奈の家に帰ったと、
家の電話から報告があった。
俺はマチさんに
「家族の人にも、娘として
接するように。」
と、忠告した。
電話していたときに、
マチさんが言った。
「この時代では、どうってこと
ないことでしょうけれど、
私今幸せです。」
「え?」
「だって、家に帰れば家族がいて
暖かいご飯があって、お風呂も…
幸せすぎて涙が出るんです。」
そう言ったマチさんに、俺は
言葉が出なかった。
向こうの時代では、貧しい生活は
当たり前だろう。きっと父親などが
戦争に行っていて、いないことも
当たり前のようにあるのだろう。