とにかく、俺は一切
マチさんに恋愛感情を
抱いてはいけないのだ。
玲奈は、いずれ、きっと
この時代に戻ってくるだろう。
しかしマチさんが帰るべき場所は
ここではないのだから。
「ま、自分の気持ちに
正直になれよ。」
「ああ…。」
悟なりの励ましなのだろう。
不器用だが、気持ちは十分
伝わってきた。
少しだけ、ありがたいと思った
けれど、照れくさいから秘密だ。
「俺も、応援するから。悟。」
「へへ。さんきゅー。俺は絶対に
玲奈の存在を忘れない!
もし忘れちまったら、諦める
しかないけどな!」
「悟…。」
玲奈は、この時代の人々に
存在自体を消されている。
だからこそ、俺たちは玲奈を
忘れてはならない。
玲奈のことを俺たちが、
忘れてしまったら、二度と玲奈は
この世界に戻れないような
気がするから。