「好きだって認めた方が
楽だぞ?」
「認めるわけにはいかないだろ!
マチさんは、この時代の人間
じゃないんだから。」
「愛に時代なんか関係ないだろ。」
「何くさいこと言ってんだよ。」
この複雑な気持ちに、
気付かないふりをしていた。
この気持ちの名前を知っている。
だけど、それを恋だと
認めてしまったら、
俺は後で苦しむことになる。
マチさんは、この時代の
人間ではない。
ということは、後に元の時代に
戻ってしまうのだ。
好きになっても、決して結ばれる
ことはないのだから、
好きになってはいけないのだ。
「俺だって、玲奈が好きだけど、
今玲奈は、この時代に
いないじゃんか!それと同じだ。」
「…お前、辛くないのか?」
「馬鹿。辛いに決まってるだろ。」
「お前が弱音吐くなんて、珍しい。」
悟も、今は相当辛いだろう。
好きな女が、別の世界へ
行ってしまったのだから。