「望、帰ろうぜ。」
「おう。」
「あれ、マチさんは?」
「佐伯さんと帰るらしいぜ。」
「そうなのか。」
俺は、悟と二人で帰る。
いつもなら、玲奈も放課後には
いるから、変な感じだ。
そうやって考えると、
友達が、いつもそばにいると
いうことは、当たり前じゃないんだ。
そんなことに、今さら気がついた。
今頃玲奈は、どうしているだろう。
あの日、俺はあいつを…
傷つけたのだろうか。
やはりそうだろうな。玲奈は
俺に告白してくれたのに、
つい、玲奈に怒ってしまった。
俺が、マチさんに少し気があること、
気が付いていたから、取り乱したのだろう。
玲奈にも悪いところは、あったかもしれない
けれど、俺も悪い。まず会ったら
謝りたい。
そんなことを考えていたら、
マチさんは、もういなくなっていた。