「望。俺怖いんだ。」
「悟?どうした、急に。」
「俺たちも、このままだと
玲奈のこと忘れちまうんじゃ…」
悟の言葉を聞いて、ハッとした。
確かに、今は玲奈のことを
覚えていても、もしこのまま
帰ってこなかったら…
きっと忘れてしまうかもしれない。
特に、悟は玲奈が好きだから
玲奈の存在を忘れるのが、
怖いのだろう。
俺だって嫌だ。小さい頃から
友達だった玲奈を、忘れたくはない。
「大丈夫だよ。意思を強く
持っていれば、忘れない。」
「…ああ。そうだよな。」
「らしくないな。悟が
弱気になるなんて。」
「へへ。まあな。」
俺たちの言葉を、悲しそうな
顔でマチさんは聞いていた。
今ここで、俺たちが弱気に
なってはいけない。
一番心細いのは、玲奈と
マチさんなのだ。
知らない時代に飛ばされて、
不安な毎日だろう。
「マチさん、心配するなって。
俺が絶対帰る方法探すからさ!」
「…ありがとうございます!」
何故こうなったか、という
原因もわからない。
だけど、玲奈とマチさんが時代ごと
入れ替わったのが、最大のヒントだ。
玲奈とマチさんは、何らかの関係が
あるのかもしれない。
それを調べる必要がある。