「玲奈、今どこにいるんだ!
 悟もマチさんも俺も心配して」


望が、突然大声で叫ぶ。
あ、そっか。私は二人と喧嘩
したまま、この時代に
飛ばされてしまったから、
まだ謝っていなかった。


「ごめんね。昨日は。
 マチさんにも
 謝っといて。
 ひどいこと言ったから。」


もうすでに、
昨日の出来事なのかも
よくわからないが。
こんな非常事態になると、
案外素直になれる自分に驚く。



「もうマチさんも怒ってない。
 迎えに行くから、今玲奈
 どこにいるんだ。」
「今、防空壕の中。」
「は?」
「達宗さんも一緒よ。」


夜の防空壕の中は、
少し気味が悪いものだ。


「玲奈、お前まさか…」
「そう。そのまさか。自分でも
 信じられないけれど、
 私は、今、昭和時代にいるの。」


電話ごしで、望が驚いている
様子が、目に浮かぶ。