何故だかわからないが、この頃
俺は眠りが浅かった。
毎晩同じような夢を、数日前から
繰り返し見ているのだ。
「達宗さん！」
「えっ？」
「やっぱり、達宗さんね！」
「たつむね…？俺は」
「達宗さん、会いたかった…。」
「だから俺は達宗じゃなくて」
「達宗さん…、再び会う事が
できたら、ずっと伝えたい
ことがありました。」
「お、おい聞いてるのか？」
「私、達宗さんのことが…」
「だああ、俺は達宗じゃねー！」
三つ編みの女の子が、俺を見て
「達宗さん」と呼ぶ。
俺には「のぞむ」という名前があるのに、
わざわざ違う名前で呼ぶのだ。
彼女は人違いをしているのだろう。
そんな夢を毎晩見ると、さすがに俺も嫌になる。
しかし、そんな俺に待ち構えている未来は、
あまりにも切なすぎた。
