「じゃあ行ってくる!」


「早く帰ってくるのよ。


今日は夕立がくるみたいだから」


「分かった!」


母の言葉を最後まで聞かずに、僕は日差しの強い外へ飛び出した。


網と虫かごを両手に持って、


神社までの田んぼ道を走る。


活発で積極的で目立ちたがり。


そんな僕は、幼稚園の友だちが


大きなカブトムシを捕まえたのを見て


自分も捕まえたくて、


そして目立ちたくて、


母や、先生に褒められたくて。


「絶対捕まえるぞー!」


走りながらそう叫んだ。


自分の意地だけの為に。